STORY*
それは、数年前のお話でした。
とある「駿」という名の国に、なかなかどうしてか子宝に恵まれない王様と皇后様がいらっしゃいました。
第一子が成人した時に王位を継承することが古くからの習わしになっている、その駿の国。
けれども王様と皇后様の間に子供が生まれる事がないまま、長い時が過ぎていきました。
自分が年によって王職を成せなくなる前に王位を子供に継がせることが出来ない、と王様はとても焦っていました。
しかし、現王が王位を継いで約20年経ったときの事です。漸く、皇后様のおなかの中に命が宿りました。
その時王様はそれはそれはお喜びになったそうです。
国中に歓迎されるであろう赤ん坊は、しかしなんと双子の男の子でした。
その報を聞いた王宮の賢者達は大慌て。
なぜそんなに慌てているのか理解が出来ずにいた王様は自分の左右に聞いたそうです。
「双子の男の子…それはいづれ、国内に大きな波紋を呼ぶこととなるでしょう」
*
以前、この大陸で国を真っ二つに割ってしまう程の大きな大きな内乱が起こった国があったそうです。
その戦争の原因は、双子の兄弟の、王位継承問題でした。
どちらも王位を継ぐ権利があり、どちらも王位を譲る気がなかった為、いつの間にか国中を巻き込んだ継承争いとなっていたのです。
その国は今この大陸に存在していません。
そう、国の賢者たちが慌てていた理由は子が成人した際の王位継承問題のことだったのです。
そんな賢者達の話を聞いた王様は、国の将来の為を思い、生まれた赤ん坊二人のうちの一人を、一人の側近を付
けて、一般人として生活させて行くことを決意されたそうです。
皇后様はとてもとても反対されました。
王様もその決断をされるとき、すごく苦しそうな顔をなさっていたそうです。
国中には「王様のお子様は、一人の健康な男の子」と知らされました。
王様の一人息子はすくすくと健康にお育ちになり、何事も問題のないまま、
五日後には、王位継承の儀式が行われることとなりました。
物語はそこから始まります。
中華風オリジナルファンタジーボイスドラマ企画、【Royalism】(ロイヤリズム)
第一話は2006年11月公開予定